【巻頭記事】導入期からのアンサンブルレッスン
2013年08月17日(土)
皆さんは「アンサンブル」についてどんなイメージをお持ちでしょうか?
「レッスンに取り入れたいけれど時間が・・・」「普段のレッスンだけでも手一杯!」 など、導入障壁が高いと悩んでいらっしゃる先生方も多いのではないでしょうか?
しかし、アンサンブル経験を積み重ねていくと、「音が変わった!」「リズムが良くなった!」という声は多く耳にします。今回は、そんな「アンサンブル」について、江崎光世先生にお話を伺いながら、効果と導入例など紹介していきます。
「レッスンに取り入れたいけれど時間が・・・」「普段のレッスンだけでも手一杯!」 など、導入障壁が高いと悩んでいらっしゃる先生方も多いのではないでしょうか?
しかし、アンサンブル経験を積み重ねていくと、「音が変わった!」「リズムが良くなった!」という声は多く耳にします。今回は、そんな「アンサンブル」について、江崎光世先生にお話を伺いながら、効果と導入例など紹介していきます。
江崎光世◎えさきみつよ
国立音楽大学卒業。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会理事、課題曲選定委員長。ピティナ・ピアノコンペティションに毎年多くの成績優秀者を輩出し、1996年最多指導者賞・1999年トヨタ指導者賞・トヨタ指導者特別賞を受賞。毎年、課題曲公開レッスンや指導法セミナーに講師として、全国各地から招かれている。またピアノデュオ・室内楽・コンチェルトなどアンサンブル指導の普及にも取り組む。
国立音楽大学卒業。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会理事、課題曲選定委員長。ピティナ・ピアノコンペティションに毎年多くの成績優秀者を輩出し、1996年最多指導者賞・1999年トヨタ指導者賞・トヨタ指導者特別賞を受賞。毎年、課題曲公開レッスンや指導法セミナーに講師として、全国各地から招かれている。またピアノデュオ・室内楽・コンチェルトなどアンサンブル指導の普及にも取り組む。
■なぜアンサンブルをするの?
ピアノは楽器の王様。同時にいくつもの音を出せ、違うリズムだって刻めます。ひとりでいろんな事が出来るからこそ、「アンサンブル」という言葉が縁遠く感じるのかもしれません。しかし、10本の指を使って演奏することもアンサンブルですね。アンサンブルに取り組むことは、アンサンブルでしか学べないテクニックを修得するとともに、ソロ演奏の上達スピードを速めることにもつながります。
■アンサンブルで得られる効果
● 音を聴く耳が育つ
相手の音を聴くことによって、音が無意識に「聞こえる」耳から、音を意識して「聴く」耳になります。
● 呼吸の感覚やリズム感が身につく相手と合わせて1つの音楽を作り上げるためには呼吸が大事。ソロでも呼吸が感じられる演奏は魅力的ですね。
● 和声感や音楽のバランス感覚が身につくスコア譜を眺めることで、楽譜を横の流れだけでなく、縦の重なりで捉えることができるようになります。
● 曲のイメージが膨らみ、表現する意識を育てる音色の違いを感じることで、音に対するイメージも膨らみ、表現することへの好奇心、意欲が湧いてきます。
● 音色感が育つ他楽器の音に触れることで、楽器特有の発音、音色の違いを実感できます。
自分が出していない音を積極的に聴く力、また、それを聴きながら自分の音を調和させ、相手と1つの音楽を作るコミュニケーション力は、ソロだけではなかなか身につきません。
導入期からアンサンブル経験を積んだ生徒さんは、自然と相手の音を聴く力が身につき、ソロの演奏でも自分の音をよく聴き、無意識的に音のバランスや声部を意識した演奏ができるようになります。
導入期からアンサンブル経験を積んだ生徒さんは、自然と相手の音を聴く力が身につき、ソロの演奏でも自分の音をよく聴き、無意識的に音のバランスや声部を意識した演奏ができるようになります。
■アンサンブルの導入事例 (江崎光世先生の取り組み)
1)4~5歳(幼稚園・保育園児)・・・まずは「連弾」から!
大部分の導入書には、先生との連弾によって自然にリズム・ハーモニーを感じながら学べる工夫がされています。また、聴感覚の一番敏感なこの時期から、音を聴きながら自然に音楽を感じる心を育てたいものです。そういった感性を育てるために、CD付きの導入教材はおすすめですよ。「プリモちゃんとセコンドくんのステップアップピアノ連弾」など、やさしい曲集からスタートします。
ピアノを習い始めて、一人で両手が弾けるようになったら、お友達と楽しみながら連弾を始めてみましょう。
4手での演奏を体験することで、呼吸法(2人の音楽を1つの音楽にまとめる基となる力)、アインザッツ(お互いの呼吸を揃える力)、バランス(自分が主役なのか、オブリガート役なのか、または内声の響きを作る役かを判断する力)が育まれ、「聴く耳を育てる」素地ができます。4手に取り組んだら、やさしい6手などにも取り組みます。
ピアノを習い始めて、一人で両手が弾けるようになったら、お友達と楽しみながら連弾を始めてみましょう。
4手での演奏を体験することで、呼吸法(2人の音楽を1つの音楽にまとめる基となる力)、アインザッツ(お互いの呼吸を揃える力)、バランス(自分が主役なのか、オブリガート役なのか、または内声の響きを作る役かを判断する力)が育まれ、「聴く耳を育てる」素地ができます。4手に取り組んだら、やさしい6手などにも取り組みます。
2)連弾に取り組んだ後・・・他楽器と触れ合うチャンスを体験!
「室内楽はじめの一歩」(バイエル編・バスティン編・ブルグミュラー編・バロック舞曲編・名曲編)に進みます。
馴染みのある曲を室内楽用に易しくアレンジした曲集です。ソロ曲に別のメロディが加わることで音楽の新しい魅力や、音楽の広がりを感じる事が出来ます。ヴァイオリン、フルート等の他の楽器の音色や奏法から学ぶ機会を与えてあげましょう。
馴染みのある曲を室内楽用に易しくアレンジした曲集です。ソロ曲に別のメロディが加わることで音楽の新しい魅力や、音楽の広がりを感じる事が出来ます。ヴァイオリン、フルート等の他の楽器の音色や奏法から学ぶ機会を与えてあげましょう。
3)「はじめの一歩」を終えた生徒さんは・・・
「学習者のためのピアノトリオ」にステップアップしていきます。
少しずつ曲もアレンジも複雑になってきますが、聴き馴染みのあるクラシックの名曲ですので、アンサンブルの重要なポイント「音を聴く」「呼吸」「バランス」を繰り返し無理なく、飽きさせずに学習していくことができます。
少しずつ曲もアレンジも複雑になってきますが、聴き馴染みのあるクラシックの名曲ですので、アンサンブルの重要なポイント「音を聴く」「呼吸」「バランス」を繰り返し無理なく、飽きさせずに学習していくことができます。
4)その後、「聴く耳」の素地が身についたら・・・
・ チェンバー・ミュージック book1
(小学校3,4年生~5,6年生)
・ チェンバー・ミュージック book2
(中学生・高校生)
この曲集のいいところは、たくさんある室内楽の名曲の中から、より親しみやすい、ピアノのためのトリオによる短い作品を選んで収集しているところです。いわば室内楽の「美味しいところだけつまみ食い」ができるのです。
中学生くらいで、ハイドン・モーツァルトなど古典期の作品に、高校生になったら、ベートーヴェンの作品にも挑戦します。
(小学校3,4年生~5,6年生)
・ チェンバー・ミュージック book2
(中学生・高校生)
この曲集のいいところは、たくさんある室内楽の名曲の中から、より親しみやすい、ピアノのためのトリオによる短い作品を選んで収集しているところです。いわば室内楽の「美味しいところだけつまみ食い」ができるのです。
中学生くらいで、ハイドン・モーツァルトなど古典期の作品に、高校生になったら、ベートーヴェンの作品にも挑戦します。
いきなり名曲に挑むと挫折してしまうので、易しい曲から少しずつ、
「音を聴く」「呼吸で合わせる」「声部を聴き分ける」ことを常に意識させながら
取り組むと、スムーズに名曲に進めますし、ソロの演奏も劇的に変わります。私の教室では、いつもアンサンブル体験会として、弦楽器、管楽器奏者にお願いして、生徒がアンサンブル演奏をする機会を設けています。
■アンサンブルレッスンの取り入れ方
先生と生徒さんで連弾することから始めるのが一番の早道です。レッスンが前後の生徒さん同士でペアを組んで連弾のレッスンを行なってもいいでしょう。いつも他楽器奏者を呼んでのレッスンは難しいので、そういう時はCDなどの音源と合わせて演奏することも効果的です。自分の音だけでなく、意識して周りの音、音楽を聴くことを心がけると、自然と自分の音も客観的に聴けるようになります。
アンサンブルを使って、演奏に必要な音を聴く力、呼吸やフレーズ感、声部のバランス等を系統的に指導していく、この積み重ねがソロ演奏の表現力を飛躍的に高めることに繋がります。何より、アンサンブルは、友だちと合わせる、みんなで一緒に演奏することの楽しさを知ることができるいい機会ですね。
先生方の生徒さんの中にも、音楽発表会、合唱コンクールの伴奏に選ばれるといった生徒さんがたくさんいらっしゃるはず!「アンサンブルレッスン」で、もっともっと素敵な音色を奏でる生徒さんを育てましょう!
■連弾の曲を探すなら・・・こちら!
■室内楽の曲を探すなら・・・こちら!
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