【インタビュー】沖野恵子先生(徳島県徳島市)
2012年11月28日(水)
メールニュース巻頭インタビュー
第56回 沖野恵子先生(徳島県徳島市)
「バスティン×リトミック~即興力を高めよう!~」
四国で初めて、ダルクローズリトミックの国際免許「サーティフィケート」を取得された沖野恵子先生。単位取得のため、数週間にわたってアメリカのカーネギーメロン大学で受講され、また上級免許「ディプロマ」の酒井徹先生のもとに、徳島から大阪まで週1回7年間通われるなど、その熱意は半端ではありません。リトミックとバスティン、そして地元徳島をこよなく愛する沖野先生に、お話を伺いました。
◆リトミックの魅力 *リトミックとの出会いを教えてください。 「10年程前、ピティナ会報に掲載の、京都 国際リトミックセミナーでバロックダンスを勉強したいと思ったのがきっかけです。」 *リトミックとは、どんなものですか? 「リズム・ソルフェージュ・即興がリトミックレッスンの3本柱です。例えば、"リズム"は体の動きや聞き取りで、"ソルフェージュ"は動きに言葉をつけ、声を出して歌います。とりわけ重要な"即興"では、多種多様な音楽素材、その応用が必要です。」 *指導者には、どんな技術・能力が必要でしょうか。 「大切なのは、色んな生徒に対応し、演奏する"即興力"。もちろん勉強や準備は必要ですが、ピアノの先生にならできますよ!」 *生徒さんには、どんな効果が期待できますか。 「自分で考える習慣がつき、そこから表現力が育ちます。"指示待ち症候群"という言葉を耳にしますが、リトミックでは『こう動きなさい』と指示しません。『どうしたらいいと思う?』その声かけで飛び出す、子どもそれぞれの発想を認め、共有する作業を重ねます。子ども達の引き出しを広げる、いわば人間教育なんです。」
◆リトミックのレッスン現場 *沖野先生のお教室について教えてください。 「子供が生まれるまでは、現在徳島バス研を支援して下さっている地元の楽器店、黒崎楽器さんの講師でした。数人の生徒さんで始めた自宅のピアノ教室は、"今の生徒さんを大切に"と、一人一人に寄り添うレッスンを心がけました。信頼関係を築いた生徒さんは、叱ってもついてきてくれますね。苦労して勉強したリトミックも実を結び、全てがつながって相乗効果・・・現在 "ぽこ あ ぽこ ピアノ・リトミック教室" は生徒さんでいっぱいです。」 *レッスンについて教えてください。 「1回30分から60分で、2-3歳児は親子一緒です。年中さん以上は、親御さんは見ていただきます。『テンポ、強弱、高低』の3つを1回のレッスンに必ず組み込み、聴き分けや理解が即時反応できるか確認しながらすすめます。流れの大筋を決めておき、実際は即興になることが多いです。」 *気をつけておられることはありますか。 「リトミックは1回ごとのレッスンで結論や成果を追求しません。遊んでいるだけに見えてはいけませんので、『今は強弱の勉強をしています』『これが二声の聴きとりにつながります』など、内容について都度、親御さんに補足しています。」 *対象年齢はありますか。 「ピアノ導入前の幼児だけが対象ではありません。グループで行うリトミックは効果も大きく、何より楽しいので、大きくなっても月1回は続ける生徒さんも多いです。大人の生徒さんもおられますよ。」 *レッスンにはスペースが必要ですよね。 「基本2人以上のグループレッスンで、動きも入りますので、ある程度の広さは必要ですね。これまで、ピアノレッスン室隣のキッチンを、リトミックスペースとして使ってきました。家族の協力がかなり重要でしたけど(笑)。でも、このたび自宅裏に2階建てのスタジオを新築しまして、1Fはホームコンサートもできるピアノレッスン室、2Fはリトミック専用スペースとして独立しました。それぞれ18畳の広さで、リトミックに必要な楽器収納スペースもあるので、存分に使えます。」 *ご苦労はありますか。 「働いているお母さんが増え、グループレッスン日の設定に苦労はあります。でも、自宅レッスンの強みで、幼児クラスのレッスン料を回数制(受講した回数分だけ翌月納金)にしています。生徒さん側の負担が少なく、長く続けていただきやすいポイントかもしれませんね。」 *ピアノ教室につながりますか。 「リトミックの生徒さんは、ほとんどピアノにつながっています。ピアノから入った生徒さんにも、リトミックの動きを取り入れるなど工夫していますが、リトミックから入った方は、先取り学習の効果でピアノの進度が早いです。また、リズム・響き・音楽を"聴く耳"が育ちますので、早い段階から、音楽のニュアンスの違い、コードや音名の違いに気づき、表現力が違うと感じます。」 *リトミックに興味を持たれる方が増えていますね。 「早い時期から始められて間口が広く、ますます広がる分野だと思います。特に2-3歳は、表現に必要な、想像の世界に浸ってくれる貴重な時期です。幼稚園や小学校に上がると、恥ずかしいと感じたり、澄ましたりしてしまう。できるだけ小さいうちから体験していただきたいですね。」 *リトミックを学びたい人はどうしたらいいでしょうか。 「日本にはリトミックを学べる団体がいくつかあります。スイスに本部を置き国際的な指導資格免許を取得できる日本ジャック=ダルクロ-ズ協会(F.I.E.R.日本支部)、日本国内に多数支部を持つリトミック研究センター、それにいくつかの音楽大学でも学べます。方針・カリキュラムがそれぞれ異なり、私の学んだダルクローズでは、基本の理論を学んだ後、指導者の個性や手法を生かした独自のプログラムを展開します。それは、個々の生徒ごとに異なるアプローチが求められると考えるからです。リトミックのセミナーは数多く開催されていますので、どうぞご参加ください。」
◆バスティンとのコラボレーション *バスティンの魅力を教えて下さい。 「リトミック指導法で高名な、カーネギーメロン大学の故マルタ・サンチェス先生は、バスティン先生とご一緒に全米セミナーをされたことがあり、実際2つのメソードに共通部分を感じます。例えば、バスティン・メソード独特の言い回しやプレ・リーディングは、リトミック的視点からも大変有効なアプローチだと感じます。そこで、リトミック仲間5名で徳島県鴨島のバス研に参加し、笠原先生のもとでバスティンを学ばせていただきました。」 *もしバスティンにリトミックの要素を取り入れるとしたら・・・? 「例えばパーティーAの"高い・低い"など、ピアノ演奏に入る前の小さなお子さんには、動きを加えると理解しやすいようです。音楽のニュアンスの違いを引き出す場合にも動きは有効です。例えば同じリズム・似たリズムでも、軽い・思いのニュアンスの違いを出したい場合、動きで表現したあと、弾かせてみると音が変わります。ピアノの音づくりに役立ちますね。レッスンの中に短時間でも「リトミックコーナー」と題して、グループレッスンを取り入れて"共有"体験をなさってみてはいかがでしょうか?」
◆おまけ随筆 「阿波おどりこそ、リズム感の原点!?」 インタビュー前、時間を気になさる沖野先生。聞けば、阿波おどり会館の昼公演「おどらなそんそん」にお連れ下さるとのこと。毎夏、阿波おどり開催期間には、市内人口が通常の3倍になる徳島で、会館専属の連(おどりグループ)による躍動感あふれる本場の阿波おどりが見られ、その歴史・変遷も学べるということでウキウキ!そこに沖野先生が一言。「最後はみんな一緒に踊らなあかんよ。上手な人には賞が出るから頑張って」。・・・賞欲しさに半ばやけくそで一生懸命踊ってきました。が、蓋をあけると、受賞したのは沖野先生!これぞ、年間を通して阿波おどりを練習するという徳島県民の底ぢから。阿波おどりの育てるリズム感をあなどるなかれ、ご覧ください、表彰状と副賞の手拭いを受け取る沖野先生の頼もしい勇姿!「バスティン×リトミック」指導の成果は、阿波おどり会館も認めるところです!?
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