【開催レポート】講座「名曲を弾くための100のレッスンポイント」(池川礼子先生)
2012年07月05日(木)
去る6月22日金曜日、巣鴨の東音ホールにおいてバスティン・パーフェクトセミナープラス2012第5回が開かれました。今回は池川礼子先生を講師にお招きし、「名曲を弾くための100のレッスンポイント〈テクニック編〉」をテーマに語っていただきました。梅雨時期のこの日、天気は雨どころか台風が接近!朝から激しい風雨が続いていましたが、セミナー開始15分前の午前10時には会場はほぼ満席。受講者たちの熱気が早くも漂っていました。「100のレッスンポイント」とは、池川先生がピティナのホームページで100回の連載を通じて紹介された指導ヒント集。今回の講座では、その中からテクニックに関する20項目に焦点を絞り、ピアノを使った実践やビデオ映像などを用いて語って下さいました。
「テクニックは、生徒さんと出会ったその日から始めなければなりません。大きくなってからというのではなく、小さな頃から出来ることを積み重ねる。そうすれば、必ずいろいろな曲が弾けるようになるのです。」そう語る池川先生は、まず初めに「テクニックとは何か?」という問いに対し、「自分の思ったとおりの音が出せること」と話されました。「音やリズムが合っていることだけがテクニックではありません。人前で自分の思う『いい音』を出せる力が本当のテクニックなのです」
最初にお話されたポイントは「楽でなければ良い音楽ではない」。弾いていて苦しいようでは『いい音』は出せません、と池川先生。肩が上がってしまう姿勢や、指の関節が凹んでしまう癖は小さな子どもに起こりがち。しかしそれらは楽な姿勢につながらず、結果として、求める響きは出しにくくなるとのこと。指導者は指の構造や、ピアノの鍵盤の構造についても知り、効率よく楽な姿勢、自然な手の形で演奏する習慣を生徒に付けさせることが大切。生徒に伝わりやすいたとえ話の例や、スポンジやペットボトルを使った指先トレーニングなどをご紹介下さいました。「指握手」と池川先生が呼ぶ訓練を、会場の受講者同士で実践してみる場面も。「これはいい!」「さっそくレッスンに取り入れよう」といった声が会場からあがりました。
後半はレガート、スタッカート、トリル、ペダルなどの具体的な奏法を中心に、バスティン教材の中で効果的な曲と指導法についてもお話されました。またテクニック修得に欠かせない反復練習には、升目を使ったゲーム感覚の練習指導など、受講者がレッスン室に戻ってすぐに使えるアイディアが紹介されました。池川先生の笑いあり涙ありの感動レッスンエピソード、海外の指導者から聞いた印象的な言葉なども盛り込まれ、「最小の労力で、最高の効果が得られる練習」というポイントを最後に語られて、充実のセミナーは締めくくられました。
文:飯田有抄(ライター)
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