【インタビュー】平井奈緒美先生・石政圭子先生(富山県)
2011年04月18日(月)
メールニュース巻頭インタビュー
第17回 平井奈緒美先生、石政圭子先生(富山県)
「講座と仲間こそ、パワーの源」
バスティンツアー(アメリカ)、藤原亜津子レッスン見学ツアー(茨城)、夏期一泊集中講座(東京)、バスティンコンチェルト(大阪)、全国のセミナー、バスティンフォーラム(東京)などなど。年間を通して、全国のイベントで拝見するお顔があります。それは富山バスティン研究会代表 平井奈緒美先生と石政圭子先生。積極的に講座を開催して指導法を勉強され、距離を問わず他のバス研活動を視察されながら、独自の活動を展開されています。北陸に熱いバスティン旋風を巻き起こすべく、一生懸命活動されるお二人に、お話しを伺いました。
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まず始めに、この度の地震で被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げますと共に、一日も早い復興をお祈りいたします。
◆講座を「選べる」幸せ
私達が全国の講座に出向いたきっかけは、「勉強する機会が欲しい」の一言に尽きます。初めてバスティン研究会を知ったのは、約7年前。バスティン研究会in大阪中央さんの集中講座(講師:藤原亜津子先生)に参加した時でした。それまでもパーティーやベーシックス教材を使ってきたのですが、講座に参加して、自分よりもベテランの先生方が一生懸命テキストを勉強されている姿を拝見し、感動を覚えました。全国それぞれ、新しいものが広がりやすい地域、まだまだパワーがいる地域があります。私達が住んでいる場所はどちらかといえば後者でした。大阪や東京にはたくさん講座があることを知っていましたが、「自分達の住む地域でも講座をやって欲しい、参加する講座を選べる地域にいらっしゃる先生は幸せでうらやましい」と思っていました。
そして、「待っているのではなく動いてみよう」と勇気を出して参加したところ、バスティン講座の魅力を知ったのです。
◆ピアノ指導者は孤独か?
バスティン講座に参加すると、初めての人にも親切で、みんなで良くなっていこうとする雰囲気がとても魅力的でした。ややもすると、閉ざされた教室の中で孤独になりやすいピアノ指導者ですが、ここでは年齢、経験を問わず、同じ立場で日々の指導について討議されていることに衝撃を覚えました。孤独にならない空気なのです。この「枠を越えた会」を富山にも作りたいと、自分達でも勉強会を始めました。これが富山バスティン研究会の始まりです。発足に当たって、周りの先生方に声をかけてみましたが、皆さんがそれぞれに指導の悩みをお持ちということがわかりました。13名からスタートし、そこに新しい先生方が加わってくださりました。「研究会を運営するのに、もっと深く教材を理解していなくてはいけないだろうか。会員の教材の使用度合いも様々・・・」と迷ったこともありますが、まずは教材を使ってみる会、楽しく学ぶ会としてスタートしました。もちろん開進堂楽器 楽器センター富山さんの協力も不可欠でした。心強いバックアップでいつも助けていただいています。
◆バスティン研究会の魅力
教材をまず使ってみる会ですから、勉強を続けていないと心配でした。他研究会のイベントや講座に参加して、刺激を受け続けていないと不安だったのです。あちこちの勉強会に参加しているおかげで、今では全国各地にパイプができました。会の運営では小さなことで悩んだりもします。しかし、各地の研究会と先生方の活動を見ていると、素晴らしさやうらやましさを感じ、自分の悩みなんてちっぽけなことではないかと思ったりもします。もちろん、運営していて嬉しいこともあります。メンバーの変化がみられることです。最初は教材研究で精一杯だった先生も、「生徒の変化を感じるようになった!」、「ピティナ・ステップに参加させてみる」、「ピティナ・コンペティションに参加させてみる」・・・というステップアップを経験されているのです。これこそ、バスティン研究会代表者の醍醐味だと思います。そして富山バスティン研究会自体もステップアップし、いくつか独自の活動を展開しています。「バスティン・ソロコンサート」と「合同ソルフェージュレッスン」です。
◆富山から発信する活動
「バスティン・ソロコンサート」は全曲バスティンプログラムで行うコンサートのことで、3年続けて行いました。2回目のコンサートはYouTubeオーディションと同時開催という形をとって、藤原亜津子先生をお招きしました。藤原先生には、講座で何度か富山にお越しいただきましたが、実際の生徒の演奏を聴いていただくのは初めてでした。これからの指導の課題をいただくとともに、日々の指導へのねぎらいと勇気をいただきました。次回のコンサートでは子ども達にアンサンブルを経験させたいという思いで、まずは連弾、そしてそこから、大阪中央研究会さんのようにコンチェルトに発展させたいという展望を持っています。
また、バスティン・メソードの核となるセオリーを、子ども達が楽しみながら学ぶことができるようにと考えたのが研究会員による「合同ソルフェージュレッスン」です。これは指導現場の意見から生まれた企画で、普段はグループレッスンが難しくても、教室を越えてみんなで学べば、子どもも楽しく刺激を受けますし、父兄も自由に見学しながらメソードの学習内容と子どもの理解度を確認できます。前回が初めての催しでしたが、幼稚園から小学校6年生までの子ども達を午前30名、午後30名迎え、各1時間ずつ、お手玉やスタンプラリー、手袋や指輪を使った指番号確認などを初め、手を変え品を変えながら、ピアノパーティーの内容で実践的なレッスンを行いました。導入で押さえたい6つの項目ごとに研究会員がレッスンを担当しましたので、指導者同士の指導アイディア交換になり、また自分のレッスン形態の見直しにもなりました。苦手な譜読みが楽しくできて、力を伸ばすきっかけになった子どももいて、成果があったと実感しています。これは一人の教室ではできないことで、バスティン研究会だからこそできたことです。今年の2回目は、中級の子どもも参加できるものを検討しています。
◆自分の足で勉強する先輩達を見て・・・
その他、月1回、パーティー、ベーシックスといったテキスト中心の勉強会を行っています。このように、おかげさまで研究会活動が大変充実していますが、とはいえ、私達は会員に、講座にもっと足を運んで欲しいと願っています。私達は日頃から「私のレッスンはこれでいいのかしら?」という意識を持っていました。そこに藤原先生に出会い、「人の集まる場所には情報がある」と教えていただき、講座に出てみようという勇気になりました。
しかし、講座に参加するためだけに、何度も富山から東京行きのチケットを買うこの原動力は何でしょうか。それは、バスティンの講座が、講座内容の感動だけでなく、講師や参加者のパワーを体感できる場だからです。このパワーは富山に戻った後、日々のレッスンのエネルギーとなります。子どもへの声かけがかわり、レッスンに余裕ができ、自分の変化を感じます。レッスンの悩みを持ち寄れば、共感したり助言・ヒントをくれるような、横のつながりもできます。地域の特色もあって、私達はバスティン研究会という横のつながりをありがたく感じました。だからこそ、何度でも講座に行きたくなるのです。
研究会活動は「この指とまれ」で参加者を集めることが多いのですが、「待ち」の姿勢の方も中にはいらっしゃいます。でも、自分で深めていく大切さを私達は知っています。藤原先生ご自身が進化なさっていて、人に教える立場の先生ほど、自分で足を運んで人よりたくさん勉強されているのを見てきたからです。いつも追求している先生は魅力がありますよね。こんな素晴らしい先生や先輩が、私達の目の前にいてくださることがとても嬉しいです。ずっとついていきたいです。
◆「富山の仲間は財産です」
バスティンのプログラムは深くて、「これでわかった」「これで全部OK」がありません。子どもにちゃんと伝えきれていないと悩むこともあります。でも、色々なテキストを試してみて、わからないなりにバスティンを一通りやってみて、それでバスティンに魅力を感じたのですから、自分を信じてやってきました。その甲斐あって、着実に研究会員が向上していると感じます。2回開催したバスティンYouTubeオーディションで、開催後に会員から寄せられた感想が物語っています。
♪(1回目感想)
「もっと指導法と教材を勉強しようと思った。事前に指導者で勉強会をすれば良かった」
♪(2回目感想)
「前回よりしっかり準備ができた。次に指導するポイントが明らかになった」
もちろん、これからやるべきことはまだまだあります。課題が自分で見えるということが大きな進歩です。
こうやって研究会員同士で共通の目標や話題を持って話していると、楽しくてたまりません。皆さんも同じでしょうか?一人孤独に指導をして、限界を感じておられることはありませんか?仲間同士の雑談からアイディアが生まれ、実現するパワーになります。どうぞ勇気を出して、お近くの講座に足を運んで下さい。そして、バスティン研究会に参加なさいませんか。
今後の富山バスティン研究会の意気込みとして、まずは健康を大切にすること。・・・大切ですよね。その上で、自分がどこに向かっていけばいいか見えなくても、日々目の前を一歩一歩登ることです。藤原先生や、他の研究会の素晴らしい先輩方を見失わないように、上も見ながら、足元も見ながら毎日歩いていきたいです。ともに歩む富山の仲間は財産です。
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