【インタビュー】福本幸子先生 (福岡県福岡市)
2011年03月07日(月)
メールニュース巻頭インタビュー
第14回 福本幸子先生(福岡県福岡市)
「心理学を学ぶとレッスンが変わる!」
バスティン・メソードは発達心理学に基づいて書かれています。国を越えてもピアノ指導者の願いは共通。
藤原亜津子先生指導法講座シリーズに毎月80名以上の熱きレスナーが集う、バスティン研究会in福岡 代表 福本幸子先生にお話を伺いました。
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◆福岡バス研の活動
藤原亜津子先生を初めてお招きしたのは1996年のバス研創立前でした。
主人の転勤で関東から九州へ戻ったその当時、地元の楽器店ではバスティン教材を扱っておらず、「バスティンを置いて下さい」とお願いしたものでした。そして素晴らしい偶然で、その楽器店の担当営業さんが主人の同級生だったことがわかり、便宜を図っていただいたお陰で、藤原先生をお招きしてのバスティンセミナーがスムーズに実現したのでした。
バスティン研究会in福岡では、子どもが長いスパンで音楽に携われるようにとの願いを込めて、「3年に一回のグランドコンサートと年2回のソロズコンサート」を開催しています。
グランドコンサートでは室内楽やコンチェルトを通じて、子ども達は
1)レッスンを受ける楽しさ
2)リハーサルの楽しさ
3)本番の楽しさ
という3度の楽しみを体験しますので、参加が続くのです。居心地良く感じる場所を子ども達は捨てません。だからこそ、子ども達を招く私達自身が会を楽しんで面白さの実感を存在させていたいと思います。スタッフが楽しめるように、好きだと思うことをやっていますので、会員同士、遊び仲間のようにとても仲良しです。
バス研の集まりは、「強制ではないけれど、来てくれると嬉しい」がモットーです。これは私の純粋な気持ちでもあります。集まるということでは、自分中心目線の損得勘定でいたならば、疲れて長く続かないですよね。相手を探ったり、論評評価したりしないこと。お互い構えず、ありのまま生きることが「人の姿・人の道のあり方」」だということ、これを軸にしています。
◆心理学とレッスンの関係
福岡バス研では、発達心理学の勉強会も行っています。全音符をどのように割るか、色の認識、音が上がる・下がるの理解について等、子どもが理解しやすいレッスンアプローチを学びます。
私は音楽科出身ではなく、心理学を学んできました。論文を書き、そして現在は、九州デザイナー学院(学校法人九州安達学園グループ)他で教壇に立って、「発達心理学」、「教育原理」「知育玩具」講義を受け持っています。
勉強会では講師を務めながら、子ども達の認識の世界を広げてあげるようなピアノレッスンの方法について考えます。
例えば、子どもには、恒常的な情報を数多く与える程、認識しやすいということがわかっています。また、左脳はパソコンと同じく情報が多くなれば重くなり、制限が多い一方、右脳は酸素と同じく情報を循環させるため、満タンにならず一定の情報量を保ち、どんどん吸収できる特徴があります。したがって、右脳に訴えて、情報を感覚(長さ、重さ、性質)に関連づけて教えると効果がある、といった風です。
もちろん、右脳だけでなく、レッスンには数々の左脳に訴えるべき局面もありますが、右脳・左脳のどちらに働きかければ効果的かを考えながら、アプローチ方法を組み合わせて行けば、より効果的なレッスンが展開できることでしょう。
◆認識と方向性を持つこと
心理学を学ぶと、その心理に基づく行動が理解できます。子どもも含め、人の全ての行動は、行きあたりばったりではありません。
例えば、コップに熱いお湯が入っているとします。湯気を見たりして、経験からそれが「熱い」とわかる人は、そっと持つか、何らかの方法で熱くないよう工夫して手に持つでしょう。しかし、それが「熱い」とわからない人はどうでしょうか。ぱっと手でつかみ、やけどをしたり、手から落としてしまうでしょう。
このように「わからない」ことを「わかる」ようにすることが訓練であり、練習です。
ピアノのレッスンも同じで、「わかっている」のであれば子どもは「やる」のですが、「わかっていない」ので「やらない、できない」のです。
大人も同様です。私は、自分で「こうしたい」という認識と、方向性を持っている方のお手伝いをしたいのです。講座に参加する人は、自分の立場を認識し、実現に向かう「回ろう」という意志と、自力で回転する力を持っています。私はタイミング良くその場にいて、ほんのちょっと一緒に回してあげたいと思っています。これが「ともに勉強できることを純粋に喜ぶ」ということであり、そういう意味で、ジェーン・バスティン先生のお気持ちと合っていると感じます。指導の構築の緻密さとその完成度の高さに、愛を感じています。バスティンメソッドと出会った喜びは、とても大きく感謝でいっぱいです。
自分が現在置かれている状況を認識させることで、人は悪いと思う行動はやめ、良いと思う行動に励みます。できなくても良いのです。どうなりたいか考えることが重要で、私はこれを「心の作業」と呼んでいます。
勉強の仕方がわからなくても、「まず講座に参加する」ことですばらしい心の作業ができています。
まだ弾けなくても、「こう弾きたい、こうできるようになりたいと願うこと」が心の作業です。
この心の作業が光の道に導きます。目に見えない「心の作業」を100点にすること、ここから先生と生徒の信頼関係が生まれるのです。
◆心理学を学ぶと豊かになる
行動心理学が頭にあると生徒の見方が変わります。笑顔と咀嚼(かみくだき)の重要性を感じることでしょう。「先生に出会えてよかった」と生徒に言ってもらえることも、教育学の知識がなし得たことだと思います。
私は、教育学や発達心理学、考え方に関する本を読むことは生きる勉強だと思っています。もし行動心理学に興味を持たれた方がいらしたら、興味が持てそうな研究書や論文、解説書をお読みになることをおすすめします。中村天風氏や松下幸之助氏など、著名な人物の書物でも良いです。誰かの人生と自分の人生を掛けあわせると、きっと今以上に心が豊かに感じられるはずです。
私は人生について、「与えられたキャストを生きている」と思っています。得手不得手があってこそ人間であり、得意なことを職業にすれば良いと思うのですが、この世の中、そうもいきません。起こりうることに一喜一憂、振り回されないように、心の勉強も必要です。楽しさ、美しさ等、右脳でとらえた感覚を循環・発展させる一方、混沌・破滅も含めた全ての成り立ちの感覚を大切にしていきたいものです。
◆プレリーディング検定のねらい
昨年夏、「プレリーディング検定」を福岡バス研独自で企画し、ミンミン(明音明音)パスポートの作成し新規開催始めました。この「継続は力なり」企画導入には、セオリーの理解度や充実度への認識を促すねらいがあります。
原則として、ものを「知る」には、何かからに教えてもらわなくてはなりません。教えられたことを、「上がる・下がる」、「短い・長い・普通」など感覚を通して認識し、脳が判断能力を得たか確認します。右脳では空間把握と美を感じ、左脳では情報を記憶、整頓します。このように右脳・左脳の両方を使うことが脳のトレーニングになるのです。
『1人の一歩より100人の一歩』。研究会員同士、生徒同士が学ぶ意識と意欲を共有でき、その過程を楽しめて、なおかつ効果がある企画や指導を続けていきます。
*福本幸子先生のブログ「サチコのつれづれ」はこちら
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